三浦通信 生垣のいろいろ・石積みと生垣(5) (2005/04/04号)
自然石をそのまま使用した石積は前に述べたように日本各地に見られますが、自然石を加工した石積みもまた各地に多く見られますので、いくつか取り上げて見ました。割石積(切り出した雑石の合端をうまく合わせ、大小異なる石をバランスよく積み上げる)割石こぶだし石積、割小端積、切石積、間知石積、雑割石積、雑石積など細別すると色々な積み方に分かれています。
割石積とサザンカの生垣
形の異なったそれぞれの大きさの違う石を隙間なく積み上げ、整然と刈り込まれた上段の生垣と天端の直線が強調され安定感が感じられます。
割石こぶだし石積とサンゴジュの生垣
大きさのほぼ同じ正方形の石の上下を加工し、整然と積み上げている所は見ていて多少重苦しく感じますが安定した重量感のある石積みです。上段の生垣を低く刈り込んで仕上げているので、とてもすっきりとした感じになっています。
間知石積とイチイの高垣
間知石積の矢羽根積を低くおさえて高垣を強くした物で出来栄えは見事です。この仕上がり具合を見るとかなりの年数を感じます。
大谷石の切石積とカイズカイブキの生垣
大谷石とカイズカイブキの、よく見かける石積と生垣の組合せですが、上部にオオムラサキツツジの玉物をはさんでアクセントをつけています。石積面にはマツバギクを垂らし絶妙なリズム感を演出して見る人を飽きさせません。
鉄平石の割小端積と二段垣
石の厚さに変化がないので小端積仕上げは単調になりがちですが、上の生垣を二段垣にして変化を持たせているのですばらしい仕上がりとなっています。(生垣上段はオオムラサキツツジとサツキの混植、下段はオカメザサの段垣です)
(2005/04/04号 三浦 敢司 著)