平馬通信 ヨーロッパに見る可憐な花たち NO 11 (2004/03/01号)
「イギリス 王立エデインバラ植物園のロックガーデン」
ロックガーデンの魅力は、高い山に果てしない魅力を感じてのぼる登山家の気持ちに共通してはいないだろうか。あの急峻な岩山を征服して見渡す時の大眺望や岩陰に風雪に耐えて咲く花々の美しい魅力は、山を知る者達の何物にも勝る快感であり、厳しい自然界なるがゆえに限られた者達のみの経験できる至福の瞬間なのであろうと思う。
ロックガーデンに見る花たちにも、その背景にある限りなく美しい自然がオーバーラップして見えてくるのではないだろうか。
(1)岩組みの隙間が大好きな〈Saxifraga sancta〉 ユキノシタ科 マケドニア原産。
早春の3~4月頃、真黄色な花が咲く。ギリシャから小アジアにも分布するもので、土壌を選ばず丈夫に育つ。マット状に岩間を這いロックガーデンにはぜひ欲しいものの一種。
(2)明るいブルーの花が魅力の〈Veronica multifida〉 ゴマノハグサ科 東ヨーロッパ、西アジア原産。
ベロニカ属には美しいブルーの花が多い。この種も人目を引きつける花が6月頃から咲き始める。
(3)ロックガーデン向きのペンステモン〈Penstemon antirrhinoides〉 ゴマノハグサ科 南カリフォルニア原産。
背の低い株が密に茂った上に、淡紅紫色の大きな花が咲く魅力的な植物。
(4)早春の雪解けと同時に咲く〈Primula rosea〉 サクラソウ科 北西ヒマラヤ原産。
4月初めのまだ寒さの中、葉が伸び始めると直ぐにローズ色の花弁に芯が黄色 い花が開く。いかにもヒマラヤの短い夏を感じる。
赤花のオダマキ〈Aquilegia formosa ‘truncata’〉 キンポウゲ科 北アメリカ原産。
日本のオダマキは皆青いが、北米には黄色や赤い花のものがある。この種はより小型で距(きょ)が小さくロックガーデンに植えられる。
(2004/03/01号 平馬 正 著)