社員通信 ~庭園文化塾って知ってますか?~
『庭園文化塾』って知ってますか?
ひとことで言えば、日本庭園をこよなく愛する人々の集まりです。
意外にも『庭園学』という学問は確立されていないのだそうです!
そこでNPO国際造園研究センターの有志の方々の熱い想いでこの『庭園文化塾』を立ち上げ、目の前の日本庭園を鑑賞するだけではなく、作庭当時の時代背景にまで遡り、その庭園に込めたであろう想い・遊び心・祈りまでをも読み解き、日本庭園の奥深さを次世代に繋げ、裾野を広げていこうという願いも込められた塾です。
講師のおはなしには日本庭園への愛情がたっぷり!
この塾では、私などまだまだひよっこ!
なのに現地見学会では肩書などはどっかに吹っ飛んじゃって、講師も塾生も入り交じり、思い思いにおしゃべりしながら楽しく庭園をめぐります。
『美しいものは美しい…庭園ってものは、知識などなくとも自分の感性のままに鑑賞すればいいんじゃない?』
そう、私もそう思っていました…でもこの塾を通して庭園へのまなざしが少し変わりました。
庭園を眺めるとき、園内にだけに見入っていませんか?
これからはちょっとだけ目線を上げてみてください。
何が見えましたか?
塀が見えたなら、もう少~し目線を上げてみてください。
塀の向こうに何が見えましたか?
勢いよく生い茂った樹木が見えましたか?
ビルが立ち並んでいるのが見えたかもしれませんね。
さてこの樹木たち、作庭当時はきっとまだ実生か幼木か…
ひょっとしたらまだ存在すらしていなかったかもしれません。
ましてやビルなんて((笑))
…ってことは、当時そこには何が見えていたのでしょうか?
遥か遠くにそびえる山々を見通すことができていたはずです。
そしてその神々しい姿に、世の安寧を祈っていたことでしょう。
疫病や災害や争いが頻発していた暗い時代ならばなおの事。
その山々に神を感じ、ただひたすらに祈りを捧げていたかもしれません。
今度は足元に視線を移してみてください。
何が見えましたか?苔むした石組みが目に入りましたか?さてこの苔たち、作庭当時はきっとまだ生えていなかったはず。
寺のお坊さんたちは、きっと苔を生やさぬようにと毎日せっせと手を入れていたことでしょう。
一説によると、苔が生えるということは、つまりはお坊さんたちが手入れをさぼったことを意味していたのだそうです。
…ってことは、当時そこには何が見えていたのでしょうか?
『この苔むした石組みにこそ日本庭園のわび・さびを感じるんだよねぇ~』
な~んてつぶやきながら写真を1枚!と、私もやっていました。
残念ながら、庭園文化塾もコロナ禍の影響で活動延期中です。まだまだ不安の尽きない日々ですが、
いつかコロナが収束し庭園めぐりを楽しまれる時は、ぜひ視線を上げたり下げたりしてみてくださいね!
ホームページなどでの予習もぜひともお忘れなく!
(2021/3/2 K.Y)