三浦通信 生垣のいろいろ・景を楽しむ生垣 (2009/11/16号)

生垣の本来の目的は、樹木を刈り込み「区切る」「仕切る」「囲む」「隠す」ことです。それら本来の目的から、景から景へのつなぎ、また景色に溶け込むことで全体の美、造形へと移り変わるものもあります。
低垣を基本としてつながりを持たせ、直線、曲線、景観木を自由自在に取り入れ、ボリュームや奥行きを加えることで、創造的、独創的な生垣を作り出します。
単一の樹種・花木、複数の樹種・花木の組合せによって、色彩の変化、季節の変化を楽しむ生垣を生み出すことができます。

生垣、玉作り、景観木による生垣

石組の中に、玉作りによって段垣を形成し、松の仕立物で景にポイントをつけています。全体を和の庭園のように仕上げた生垣で、玉物にも複数の樹種が使われています。

ヒイラギモクセイ(後列)、ツゲの段垣

ある所では通路、またある所では植込地というように、広い敷地を直線の生垣で区切り、景観木を用いることで奥行きも演出しています。常緑樹でまとめてありますが、花木も使い、芽吹き、花等で季節を味わうことができます。また、生垣の長さに変化を与えることによって、より景を楽しむことができます。

ツゲ、ドウダンツツジ、アイビー他、場所ごとに全て異なる樹種の生垣

生垣の高さ、形、全てを異なる樹種でまとめた生垣です。カイヅカイブキ、キンモクセイの長玉作り等で脇を高くし、手前を低くする事で、立体感、奥行を演出し、とてもまとまっている段垣です。

サツキの生垣

大谷石の石積で高さを取り、サツキ一色で曲線、凹凸面を形成し、高さの変化によって奥行きを出しています。生垣の中に景観木、後ろに締めの長玉作り、また入り口の左右に高さの変化を与えることで、全体のつり合いがとれた生垣に仕上がっています。

ツツジ類が中心の混植生垣

この生垣も、入り口を中心に左右の高さを変えています。また、多くの花木を使用し、花の時期がとても楽しみな生垣です。景観木には、花木だけでなく落葉樹も使われ、花の季節、紅葉の季節等、一年を通して楽しめる生垣となっています。

(2009/11/16号 三浦 敢司 著