三浦通信 生垣のいろいろ・低垣 (2008/04/08号)

低垣とは通常生垣の高さが1m以下のものを言い、おもに庭の中の区切りや庭と通路との境、または縁取りとして仕切るために使われている生垣です。

低垣を作る事によって庭が広く奥深く見え、見とおしが確保できることで庭全体が締まって落ち着いて見えます。
また直線、曲線が自由自在につくり出せ、使い方によってそれぞれに違った見方が出来ます。

生垣には視界の邪魔にならない樹高の低いもの(矮性樹種)や、刈込みに強く形か整えやすいものが多く使われます。
庭全体を考えて樹種を選ぶ事が大事で、一般的には混植は少なく、同じ樹種が使われます。
花木を使う場合は花の色、大きさ、香りを考慮します。

自然石の小端積の石垣の上のツツジを、低いカマボコ型に刈込んでいます。
石積の直線とツツジの曲線との双方が引き立てあっています。

低垣に使われる樹木にはイヌツゲ、キンメツゲ、ハマヒサカキ、サカキ、チャノキなど葉が小さく刈込み線がきっちりと出せるものや、アラカシ、ヒイラギナンテン、ヒイラギ、ビャクシンなど葉を楽しむもの、サツキ、ツツジ類、コクチナシ、ハクチョウゲ、カンツバキ、ジンチョウゲなど花と香りを楽しむものがあります。
また常緑樹だけでなくドウダンツツジ、ヒュウガミズキ、ニシキギなど花紅、黄葉、枝ぶりを楽しむ落葉樹もあり、ほかにもオカメザサ、クマザサ、タケ類と、低垣にはいろいろな樹種を楽しむことができます。

門から玄関へ向かう通路を低垣で縁取っています。
土塁垣の高さと幅を変えて広がりと奥行きを感じさせ、自然の景色を取り入れた素晴らしい生垣です。

庭園内の低垣
主庭内を竹の低垣で仕切ることによって庭のひろがりと趣きを演出した、珍しい低垣です。

杉皮化粧張り(大和葺風)の門へあがる自然石小端積の階段の脇を、片側を自然石の石組、対面をサツキの低垣と金閣寺垣で仕上げています。
全体の固さがとれ、更に奥深さが見られ自然の趣きをあらわしています。

ドウダンツツジの低垣
斜路の入口を玉石の縁取りで仕切り、低垣の幅を見せています。
根元にリュウノヒゲを植栽し、安定した安全性の高い低垣に仕上っています。

(2008/04/08号 三浦 敢司 著