三浦通信 生垣のいろいろ・三段垣? (2009/06/17号)
三段垣は、二段垣に高さの異なった生垣を一段加えたものです。樹種が増え、また形状も様々なものが加わり、多様なパターンを生み出すことが可能となります。
弱点は、一段増えるごとに敷地、庭の面積を生垣に取られていくことです。
また、特別に生垣として植栽せず、既存の庭木をうまく生垣として利用した三段垣もあります。
ツゲ(後)、ハイビャクシン(中)、ツツジ(前)の三段垣
敷地と道路の境のツツジを低垣として取り入れ、本来の二段垣が三段垣となり、より重厚感を生み出しています。
中垣のハイビャクシンの幅が広いことにより、グリーンの濃淡がすっきりと表れています。
カナメモチ(後)、オオムラサキツツジ(中)、サツキ(前)の三段垣
単調になりがちな生垣も、面を湾曲にすることによって奥行が演出されます。
中段オオムラサキツツジ、前段サツキを湾曲に刈込むことで、花の見られる面積が広がり、人々を楽しませてくれる生垣となっています。
ウバメガシ(後)、カナメモチ(中)、サツキ(前)の三段垣
近くで見ると中段カナメモチの高さが気になりますが、前段のサツキでやわらげています。この生垣は少し遠くから見ますと、なかなか堂々として見ごたえのある生垣です。
イヌツゲ(後)、ドウダンツツジ(中)、サツキ(前)の三段垣
後方中段の生垣は線を強調しています。高さの幅を三段共ほぼ同じにしているために、すっきりと見えます。加えて、花、芽吹き、紅葉と四季を楽しめる落葉樹を中段に植栽することで、見応えがあり飽きさせない取り合わせになっています。アクセントとして、等間隔に高木を配植し変化をつけています。
サザンカ(後)、サツキ(中)、サツキ、サツキ玉(前)の三段垣
上段サザンカの生垣の水平、垂直な面に対し、中段・下段のサツキのナマコ型の生垣は石積に合わせくねりを出しています。石積ポケット内のサツキの玉物は、直線の中の曲線が素晴らしく、心にくい取り合わせとなっています。また、この三段垣は花木だけでまとめてある点が特徴です。
(2009/06/17号 三浦 敢司 著)