鈴木通信 樹木医の独り言1「みんながんばって生きています。」 (2005/10/31号)
私たち樹木医は、郷土の名木、巨樹・巨木林を守るために発足しましたが。都会の樹木も守っています。狭い植樹桝、車の排気ガス等の劣悪な環境の中に植栽されて傷んでいる街路樹の、危険度・健全度調査も行っています。その調査の中でホッとするような小さな自然を見つけることがあります。皆さんも注意して街路樹を見てみてください意外な物が見つかります。また、街路樹を木槌で叩いていたり、根元を掘っている人を見かけたら、健康診断をしている樹木医(木のお医者さん)です。
1)植栽されて70年の立派なユリノキです。実は大きくなりすぎて、近隣に迷惑をかけるようになって頭を切られています。さらに車や歩行者に根元を踏まれていました。調べてみると根元に穴が開いていました。一見健康そう見える樹木も体の中は成人病に犯されているのです。この木は倒木の危険が大きいので伐採することになりました。
2)伐採した根元の断面です。根元の中心部は大きな空洞が開いていました。診断どおりで皮だけで生きていた状態です。これでは強風の際には倒れる危険があります。
3)ヤナギの街路樹を診断していた時、少し上を見上げてみるとキツツキがあけた穴が見られました。大きさからするとコゲラがあけた穴かもしれません。
4)そのヤナギの幹には立派なキノコ(サルノコシカケ)がたくさん出ていました。きっと幹の中はフカフカの空洞になっていると思われます。
5)別のヤナギの木では、木の幹を叩いていると頭の上でブーンという多数の羽音が聞こえてきました、更に髪毛の中にも虫が飛び込んできます。よく見ると日本ミツバチの巣がありました。
(2005/10/31号 鈴木 信晶 著)