三浦通信 樹形美・根張り? (2004/05/18号)
前回、樹木美の中の樹形の美しさについて色々な見方がある事を書いて見ましたが、今回は根張りの美について取り上げて見ましょう。
樹木が長い年月をかけ成長して、壮年期、老年期と変化していく中で、根は地上部全体を支え、幹の地際が張り出して盛り上がり、大地にしっかりと食い込んでいる状態を良い根張りといいます。根張りの形状は樹種、樹齢、環境、地中の条件などによっても変わってきます。又、土が固かったり、土の層が薄かったり、下に岩盤があったりすると根は深く入る事が出来ずに、浅い上部の層だけで成長しようとするために、根は浮き上がってきます。この様な状態の時は早い時期から根張りが見られます。根はいくらか乾燥気味で、根を張る条件が悪い時の方がむしろ水分を求めて伸長したりします。根張りが目立つ時期は樹種、樹齢などによっても異りますが、樹木が一番成長力の旺盛の時に美しい立派な根張りが表現されます。最も美しい根張りは、二方、三方に片寄らず、四方平均にバランス良く張り出して、力強さ、たくましさが感じられるものを言います。
バランスのとれた根張り
国指定天然記念物 大宰府天満宮のクスノキ 樹齢1000年以上
国指定天然記念物 千本イチョウ
一里塚のエノキ
香取神社のナギ
色々な形の根張り
国指定天然記念物 府馬のタブノキ 樹齢1300年以上
(2004/05/18号 三浦 敢司 著)