永寿院

施工場所 東京都大田区池上1-19-10
工期 2025年4月~2026年3月
発注者 不変山永寿院
設計監理 株式会社スタジオテラ
工事概要
不変山永寿院は、池上本門寺の南東に位置する日蓮宗の寺院です。
池上の山は、弥生時代には人々が住み始めたとされ、境内の発掘調査では住居跡や土器が数多く発掘されています。また芳心院の墓所「万両塚」が隣接し、歴史を感じられる地域です。
また1年間を通して「土に還る」をテーマに勉強会が企画され、庭園の改修工事と連動したワークショップが毎月開催されました。
経緯・施工状況
2021年11月に境内の庭園にて、ナラタケモドキ菌の子実体が確認されたことから、弊社へ菌及び水位調査の依頼があり、2022年にかけて土壌調査及び対策作業を実施しました。しかしその後も子実体は確認され、庭園の中心となるシダレザクラの枯損もあり、ナラタケモドキ菌による枯損木の撤去及び庭園改修工事が実施されることとなりました。
2025年4月より、1期工事となる枯損木の伐採・撤去及び健全木の移植作業、土壌改良工事を行いました。最も枯損していたシダレザクラは、根株のほとんどがナラタケモドキ菌に侵され脆くなっており、通常よりも短時間での伐採・伐根作業となりました。土壌は通常菌に侵されている場合、現況土を処分の上客土を行いますが、今回は特定菌の増殖を抑制し、土壌中の微生物の活性化や菌のバランスを整える有用微生物(トリコデルマ菌等)資材を混合し、土壌の再利用を試みました。
同年6月より、休ませていた再生土の埋戻し、土中環境改善層の設置、雨庭の造成工事を実施しました。今回はNPO法人地球守代表理事高田宏臣さんの著書「土中環境」を参考に、竹炭やわら、落ち葉、剪定枝等を用いた土中環境改善層や通気浸透水脈の設置を行いました。施工してみると、断面図上では層がイメージできるものの、実際には割栗石やわらの隙間に細かい竹炭や落ち葉が入り込んでしまい、自然素材だけで層をつくることの難しさを学びました。また剪定枝を浸透脈の形状に合わせて加工する作業にとても手間のかかることが分かりました。庭園の中心には石材を用いた雨庭を造成し、敷地内の雨水を集水・浸透させることにより、地下水の涵養や周辺の水害防止に寄与し、地域の防災につながる空間を創出しました。
2026年3月には、施工範囲全体の植栽工事を行いました。土壌の再生を実施した箇所には、アンズ高木の植栽を行いました。ナラタケモドキ菌は広葉樹の中でも特にバラ科の高木につきやすいと言われリスクの高い樹種選定ですが、アンズの生育が良好であれば土壌のバランスが整った指標となるため、試験的な植栽となりました。その他低木や地被類は、雨庭との調和を考慮し、梅雨時期に見頃を迎える植物が多く計画されました。施工最終日がワークショップの最終回となり、参加者の方々には地被類の植栽を体験していただき、これらの植栽をもって1期工事の竣工を迎えました。




