大戸緑地園地改修工事(2)


履行場所     町田市相原町地内


工  期     令和3年3月~令和3年8月


発 注 者      東京都西部公園緑地事務所


工事概要

都立大戸緑地は、町田市西端の神奈川県境に位置し、高尾山へとつながる尾根の一画にあります。近隣一帯にはのどかな里山の景観と、都市近郊では貴重な自然が残っています。今回の工事では、この緑地内の樹林環境を改善するための間伐、ハイキングコースの土留や階段の整備、野外卓・指導標等の改修を行いました。

まず、手入れがされずに藪が繁茂していた一画で下刈りを行ったのち、枯れ木や衰弱した木、混み合った樹木を伐採しました。これによって、林床に光が多く入るようになり、多様な下草や低木が育ち、多くの小動物が生息する、里山本来の明るい林になることが期待されます。

次に、ハイキングコース路肩の土留めが傷んだ箇所において、全長約250mに渡って土留の改修を行いました。また、既存の階段の段差が大きく上り下りが大変な箇所において、段差の小さい階段による迂回路を脇に設置しました。

野外卓や指導標等の改修については、地元ボランティアの方々手造りの趣ある木製品が経年で傷んでおり、代わりに多摩産の木材を使った既製品へと取り替えました。また、ハイキングコースの要所には、地点名を示す標柱や解説板を設置しました。

施工上のポイント

施工箇所が広い緑地の各所に及び、かつ重機等が入れないハイキングコース(標高差:約100m)沿いが主であったため、各製品は人力での運搬が可能な部材に分け、途中に中継置場を設けて運ぶなど、資機材の荷揚げが大変でした。

また、来園者の利用を維持した状態での施工であったため、作業内容や予定を周知する案内を要所に設置するとともに、交通誘導員を配置しながら、来園者の通行に注意して施工を行いました。

そんな中、とくに苦労したのは土留の改修です。杭を打ち込む際に地中の岩盤に当たってしまう箇所があり、小型の破砕機で岩を砕いて穴を開け、モルタルで杭を固定しながら施工したりしました。1本の杭を設置するのに1時間以上かかったところもありましたが、職人さんには辛抱強く頑張ってもらいました。

なお、施工範囲には、盗掘や環境破壊により現在では希少となってしまった野草類も生育していたことから、事前にいろいろな方から情報を得て調査を行い、既存株の保護や移植も実施しました。