三浦通信 生垣のいろいろ・高垣1 混植 (2010/04/19号)

高垣は地方・地域の生活に密接に関係して出来た生垣のひとつであると思われます。北風(季節風)を防ぐ役目が主で、北側から西側にかけて多く作られています。また、風除だけでなく、飛火等火除の目的としても役割を果たしています。

生垣の中でも特に高垣はその地方・地域の自然条件を考慮し、適した樹種を選定する事が大切です。関東地方のシラカシ、関東以南海岸地域のマキ、山陰地方のマツ等はその土地の自然条件に合った高垣で、特に目を見張るものがあります。
条件の合わない樹種を使用すると、生長が不揃い、枝枯がでる、枝葉が繁茂しない等、様々な不都合をきたし、見栄えの悪い生垣となる事が多くあります。

近年の都市部の高層ビル郡では意匠的に、住宅地ではプライバシーの問題から隣家との境に目隠し、又は庭の意匠的に高垣を作っている所も見受けられます。

幾種類もの常緑樹をうまく取り混ぜた混植高垣
この生垣の中には、シラカシ、サザンカ、ツバキ、ネズミモチ、カラタテ等新芽の葉色の違った樹木がうまく混ぜられています。春先の芽吹きの時に遠くから見る姿は格別です。天端を揃え、重みのある高垣です。

道路より奥へと続くシラカシとサザンカの混植高垣
冬、後方のケヤキの大木の葉が落ち、寒さを感じる季節には、緑の壁の中にサザンカの花が見え隠れし華やいだ気持ちにさせてくれます。

白いタイル仕上げの塀の上にシラカシ、シイノキ、モミジ他の混植高垣
植栽当時は単木列植でしたが、現在は道路側を刈込み、一つの高垣を形成しています。重みがあり、天端は個々の樹形が整えられ、やわらかく見栄えのある高垣です。

針葉樹では珍しい、チャボヒバとカイヅカイブキの混植高垣
葉先の違う針葉樹をうまく合わせています。

タイサンボク、シラカシの混植高垣
植栽当初は玄関先の景観木として植えられたタイサンボクが、通路側を切られることによって横に延び、月日の経つ内に後方のシラカシの高垣と一体化してしまったと思われます。

(2010/04/19号 三浦 敢司 著