平馬通信 ヨーロッパに見る可憐な花たち NO23 (2004/08/30号)
『イギリス 王立エディンバラ植物園のロックガーデン』
ロックガーデンと日本庭園は美しい自然界を模写して作られているので、双方に共通してみられる景観が多くあります。しかし、ロックガーデンは植物の標本展示場なのに対して、日本庭園は植物の種類が少なく、景観を重視して、その中に不老長寿や極楽浄土、鶴亀蓬莱といった人間願望や精神的な願いを石組みなどで表現しています。自然界を主題にしているロックガーデンも、その中に何か人間の精神的願望“死後のパラダイス”や“花園に囲まれた来世”などが隠されているのかも知れません。
(1)岩組みに似合う緑のカーテン〈Cotoneaster adpressa〉 バラ科 中国原産。
花は地味で、秋に赤い実が美しい。ロックガーデンでは、3~4種が岩組みに植えられる重要な落葉灌木。
(2)グリーンカーペット〈Raoulia glabra〉 キク科 ニュージーランド原産。
無毛の小さな葉が密集してカーペットとなり、夏にクリームがかった白色の花が咲く。ニュージーランドの低山から1300mの砂礫地などに自生する。
(3)濃いピンクの花が美しい〈Silene schafta〉 ナデシコ科 コーカサス原産。
ラフなマット状となり、濃紅色の強いピンクの花を7~10月頃まで咲かせる。
(4)白くて可愛い花の〈Ranunculus amplexicaulis〉 キンポウゲ科 ピレネー山脈原産。
4~5月に地中から出た茎が枝分けれして、白い花を一個ずつつける。
(5)イタリア北部のドロミテに見られる〈Senecio abrotanifolius v.tiroliensis〉 中央ヨーロッパ原産。
葉がニンジン葉でオレンジ・イエローの花が夏に咲く。本種の小型種。
(2004/08/30号 平馬 正 著)