三浦通信 樹形美(枝垂性)しだれしょう? (2004/04/21号)

樹木のうつくしさは色々とありますが、その中に樹形の美しさがあります。樹形の美しさの中にも、樹冠美、枝条美、花冠の美、樹幹美、根張りの美などと多くのみかたがありますが、今回は枝条美について取り上げてみましょう。マツやマキの枝振りとも言われるように、枝条は各樹種それぞれに本来の成長形があり、樹形美の形成において重要な役割を果たしています。この時期、皇居濠端のヤナギの芽ぶきや各地から聞かれるシダレザクラの便りなどを耳にしますが、特に樹形、枝条美の面白い枝垂性ついて紹介したいと思います。
樹形はあまり横に広がらず、円柱状に伸びて各枝が垂直に下垂して長いものでは地面までとどき、流麗な樹形を見せて真に美しいものです。中でもヤナギ、カツラ、サクラ等は本しだれと言われています。花木の枝垂性は庭園樹として愛好者も多く、昔から広く利用されています。(サクラ、ウメ、ハナモモ等)また和風庭園の景観を作り出す中で、大変重要な役割をしているのが、モミジ類の枝垂物と言えます。
枝垂性樹木は落葉樹に多く見られ、新緑や花、紅葉時は特に素晴らしいものです。葉のない冬の時期には枝の素性がよく見えるので骨組を考えて整枝剪定を行い、樹形を作ります。枝垂性樹木には前記の他に、シダレアカシデ、シダレイチョウ、シダレエンジュ、シダレガシワ、シダレグリ、シダレクワ、シダレハナミズキ、シダレネム、針葉樹ではシダレアカマツ、シダレコウヤマキ等の樹種があります。

東京都西多摩郡日の出町 幸神神社 シダレアカシデ(国指定天然記念物)高さ5.8m・葉張り2.12m 樹齢700年以上

福島県いわき市 シダレモミジ(国指定天然記念物)高さ6.8m・葉張り10m

群馬県六合村 世立のシダレグリ(県指定天然記念物) 樹齢約250年

(2004/04/21号 三浦 敢司 著