三浦通信 門冠りのいろいろ~特別号?~(2004/01/19号)
門冠り(もんかぶり)
門は明治時代以前には武家や寺院または豪農・豪商等限られた身分の人々しか作ることが出来ず、庶民には門を作ることが許されていなかったようです。江戸時代から明治時代にかけて、東京では冠木門と呼ばれる屋根のない2本の門柱の上部を貫く横木(冠木)を渡した門が多く見られ、屋根がなく2本柱の門では単調すぎたため、それを補う目的で左または右側の門柱に添わせて下枝の一部を差し枝風に正門の上に伸ばし植えられたものが起源であると言われています。古くからの植栽方法の一つで、今日でも需要が多く、門冠り用に差し枝を伸ばした樹種も売品として栽培されています。(東京農業大学造園用語辞典参考)
近年ではさまざまな門柱と門扉の組合せで門冠りの木も門上に樹冠をかぶせる斜幹仕立てや差し枝を水平に伸ばし幹の曲がりを見る曲幹仕立ても多く見られます。樹種にはアカマツ、クロマツ、ラカンマキが多く使われているが、中には個人の方で長年丹精を込めて育て上げた、意外性のある、樹種も見受けられます。まだまだいろいろな樹種を用いてさまざまな形状を作り門冠りの木として楽しめるのではないでしょうか。
●透し戸の冠木門と門冠りのクロマツ
●斜幹仕立ての門冠りのアカマツ
●曲幹仕立ての門冠りのクロマツ
(2004/01/19号 三浦 敢司 著)